リモートワークのセキュリティ対策・リスクと進め方を徹底解説

リモートワーク

この記事のポイント

リモートワークのセキュリティは、端末紛失や不正アクセス、覗き見、シャドーITなどのリスクを把握し、技術・物理・人の3視点で対策を整理するのが基本。自宅WiFiやVPNで通信を守り、総務省ガイドラインに沿ったルール整備と定期的な見直しで継続運用する。

リモートワークのセキュリティ対策・リスクと進め方を徹底解説

「リモートワークのセキュリティ対策って何から始めればいいのでしょうか。リスクの全体像も、自社に合った現実的な進め方もよく分からないまま不安だけが残っています」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

  • リモートワークで高まるセキュリティリスクの全体像
  • 技術・物理・人の3視点で整理した対策
  • 総務省ガイドラインに沿ったルール整備と運用の進め方

リモートワークのセキュリティは、リスクの種類を正しく把握したうえで、技術と物理と人の3つの視点から優先順位をつけて対策することが基本です。

専門知識がなくても、コストや手間を抑えながら自社の状況に合った範囲で安全性を確保できます。何からどう進めればよいか、この記事で順に確認していきましょう。

リモートワークで高まるセキュリティリスクの全体像

リモートワークのセキュリティ対策を考えるには、まずどこに危険が潜むかを把握する必要があります。オフィス外で業務を行うと会社の管理の外に出る場面が増え、情報漏洩や不正アクセスのリスクが高まるためです。

総務省やIPA(独立行政法人情報処理推進機構)も、テレワーク特有のリスクへ複数の対策を重ねるよう促しています。ここで代表的な4つのリスクを整理します。

主なリスクは次のとおりです。

  • 端末の紛失や盗難による情報漏洩
  • 自宅やフリーWi-Fiを狙った不正アクセス
  • 公共の場での画面の覗き見
  • 私物端末やシャドーITに潜む危険

端末の紛失や盗難による情報漏洩

リモートワークで最も身近なリスクが、パソコンやスマートフォンの紛失や盗難です。社外に端末を持ち出す機会が増えるほど、置き忘れや盗難の可能性も上がります。

端末内に業務データが保存されていれば、第三者にそのまま情報を読み取られる恐れがあります。対策の基本は端末内データの暗号化です。

WindowsのBitLockerやMacのFileVaultでディスク全体を暗号化しておけば、端末を紛失してもデータの読み取りを防げます。総務省やIPAも暗号化と画面ロックの徹底を推奨しています。

自宅やフリーWi-Fiを狙った不正アクセス

通信経路を狙った不正アクセスも見逃せないリスクです。自宅のWi-Fiルーターの設定が甘かったり、カフェなどのフリーWi-Fiを使ったりすると、通信内容を盗み見られる危険が高まります。

暗号化されていない通信は、攻撃者にとって格好の標的になります。通信への割り込みや偽アクセスポイントへの誘導など、利用者が気づきにくい手口で内容を盗み見られる点が厄介です。重要なデータを扱う通信では、特に警戒が必要になります。

公共の場での画面の覗き見

物理的な覗き見も実害につながるリスクです。カフェやコワーキングスペース、移動中の電車など、人目のある場所で画面を開くと、背後から内容を見られる恐れがあります。

覗き見によって機密情報やログイン情報が漏れる場合があります。こうしたショルダーハッキングは、技術的な対策だけでは防げません。

画面に覗き見防止フィルターを貼る、背後に人がいない席を選ぶといった、その場での配慮が有効です。覗き見た情報をもとに社内システムへ侵入されるケースもあるため、軽視できません。

私物端末やシャドーITに潜む危険

会社の管理外で使われる端末やサービスも、リモートワークで増えるリスクです。代表的なものがシャドーITで、企業の許可を得ずに従業員が独自に使う端末やクラウドサービスを指します。

管理の目が届かないため、情報漏洩やマルウェア感染の危険が高まります。似た言葉のBYODとは、企業の承認があるかどうかで区別できます。

  • BYOD … 私物端末を会社の管理下で業務に使う仕組み
  • シャドーIT … 会社の許可なく独自に使う端末やサービス

BYODは適切なルールのもとで管理すればリスクを抑えられます。一方シャドーITは把握自体が難しく、対策の前にまず利用実態を見える化する取り組みが欠かせません。

リモートワークのセキュリティ対策を3つの視点で整理する

リモートワークでのコミュニケーションや業務を安全に行うため、セキュリティ対策は技術面・物理面・人の行動面という3つの視点で整理すると抜け漏れを防げます。1つの対策に偏ると別の経路から事故が起きるため、3つをそろえて初めて全体の安全性が保てるからです。

総務省のテレワークセキュリティガイドラインも、技術的な仕組み・働く場所の管理・利用者の意識という複数の側面を組み合わせる考え方を示しています。まずは下の表で全体像をつかんでください。

視点守る対象代表的な対策
技術面通信・データ・端末多要素認証、VPN、暗号化、ウイルス対策ソフト
物理面端末・書類・作業場所端末の施錠保管、覗き見防止、持ち出しルール
人の行動面利用者の判断と習慣社員教育、ルールの周知、報告体制の整備

技術面で備える対策

技術面の対策は、仕組みの力で人為的なミスを補う守りです。利用者の注意だけに頼らず、不正アクセスや盗聴を自動で防げる点に価値があります。

具体的には、ログイン時にパスワードと別の確認を加える多要素認証が基本になります。多要素認証とは、本人だけが持つスマートフォンなどを使い、二段階で本人確認する仕組みのことです。

あわせて、通信を暗号化するVPNや、端末内データの暗号化、ウイルス対策ソフトの導入も欠かせません。これらは利用者が意識しなくても背後で働くため、対策の土台として最優先で整えるべき領域です。

物理面で備える対策

物理面の対策は、端末や書類そのものを物理的に守る取り組みです。技術面をどれだけ固めても、端末の紛失や盗難、画面の覗き見といった現実の場面では別の備えが必要になります。

主な対策は次のとおりです。

  • 離席時に端末を施錠して保管する
  • のぞき見防止フィルターを画面に貼る
  • 紙の書類や端末の持ち出しルールを定める
  • 公共の場では機密情報を扱う作業を避ける

物理面はコストをかけずに始められるものが多く、すぐに着手できる領域です。日々の小さな習慣が、情報漏洩の入り口をふさぐ役割を果たします。

人の行動で備える対策

人の行動面の対策は、利用者一人ひとりの判断と習慣を整える取り組みです。最新の技術を導入しても、安易なパスワードの使い回しや不審なメールの開封といった行動があれば、対策は簡単に破られてしまいます。

そこで重要になるのが、社員教育とルールの周知です。リモートワークでやってよいこととやってはいけないことを明文化し、定期的な研修で全員に浸透させます。

あわせて、不審な事象を早めに報告できる体制を整えておくと、被害の拡大を防げます。技術面と物理面を生かすかどうかは、最終的に人の行動面にかかっています。

通信環境を安全に保つリモートワークのセキュリティ対策

リモートワークのセキュリティ対策で最初に固めたいのが通信環境です。自宅やフリーWi-Fiといった社外ネットワークが、情報漏洩や不正アクセスの入り口になりやすいため。

自宅Wi-Fiの設定見直しとVPNの活用、フリーWi-Fiの扱いを押さえれば、在宅勤務の通信リスクは大きく下げられます。

自宅Wi-Fiの安全な設定方法

自宅Wi-Fiは設定を見直すだけで安全性が高まります。初期状態のまま使い続けると、第三者に通信を傍受されたりルーターを乗っ取られたりする危険があるためです。

警視庁も無線LANルーターの適切な設定を呼びかけています。次の3点を順に確認してください。

  • 暗号化方式を最新のWPA3に設定する。WPA3は従来のWEPやWPA2より解読されにくく、通信内容を保護します
  • ルーターの管理画面に入る初期パスワードを変更する。初期設定値はネット上に公開されている場合があり、英大文字小文字と数字記号を混ぜた10桁以上が推奨です
  • ファームウェアを最新の状態に保つ。脆弱性を修正する更新が随時提供されるため、自動更新機能を有効にしておくと安心です

WPA3とは無線通信を暗号化する規格のことで、通信を第三者が読み取れない状態にする仕組みです。ファームウェアはルーターを動かす内蔵ソフトを指し、更新により弱点がふさがれます。

VPNで通信を暗号化する仕組み

VPNはリモートワークツールの一つとして、通信を安全に保つ代表的な手段です。社外から社内ネットワークへ安全につなぐ仕組みで、低コストかつ比較的容易に導入できます。

VPNとは仮想専用線を意味し、インターネット上に自分専用の通信路を作る技術です。トンネリングと呼ばれる方法で通信路を仮想的に区切り、その中を流れるデータを暗号化することで、外部から通信内容を読み取られないようにします。

種類によって暗号化する対象が異なります。

種類暗号化の対象主な用途
IPsec VPNIPパケット全体拠点間や社内ネットワーク接続
SSL VPNWebなどの通信個人端末からのリモート接続

注意したいのは、VPN機器自体の脆弱性を狙った攻撃です。総務省の情報通信白書でも、VPN機器の弱点を突いた不正アクセスが被害事例として報告されています。

無料VPNは暗号化機能がない製品もあり、かえって情報漏洩のリスクを高めるため避けるのが無難です。

外出先でフリーWi-Fiを使うときの注意点

外出先のフリーWi-Fiは便利な反面、リスクが高い通信環境です。特にリモートワーク海外で働く際などは、通信が暗号化されていない場合があり、パスワードやクレジットカード情報を盗まれる恐れがあるため警戒が必要です。

総務省も公衆Wi-Fi利用者向けの注意喚起を行っています。

代表的な手口は次のとおりです。

  • 中間者攻撃。利用者と接続先の間に割り込み、通信内容を傍受する手法です
  • なりすましアクセスポイント。正規のものとほぼ同名の偽Wi-Fiを設置し、接続させて通信を抜き取ります
  • パケットキャプチャ。ネットワークを流れる通信を保存し、後から中身を解析します

リスクを抑えるには、業務でフリーWi-Fiを使う際にVPN接続を必ず併用するのが基本です。接続前にSSIDの正しさを確認し、暗号化のない接続先では重要情報の入力やログインを控えてください。

安全な通信が確保できないときは、スマートフォンのテザリングを使う選択肢も有効です。

ルール整備と社員教育でセキュリティを維持する方法

リモートワーク導入時のセキュリティは、機器の導入だけでなくルールと教育で支える必要があります。攻撃手口や働き方は変わり続けるため、組織として基準を定め、立場ごとに役割を分け、定期的に見直す運用が欠かせません。

総務省ガイドラインを参考にルールを定める

テレワークとリモートワークの違いを考慮しつつ、社内ルールを定めるなら、総務省の「テレワークセキュリティガイドライン(第5版)」を出発点にすると効率的です。公的機関が示す基準に沿うことで、自社判断のばらつきを抑え、抜け漏れの少ない規程を作れます。

第5版は2021年5月に公開された最新版で、テレワーク方式の選び方やクラウド、ゼロトラストといった新しい考え方まで反映しています。中小企業の管理担当者向けには、別冊として「テレワークセキュリティに関する手引き(チェックリスト)第3版」と従業員向けハンドブックも用意されています。

自社でルールを整える際は、次の順序で進めると着手しやすいです。

  • ガイドラインとチェックリストで自社の現状を点検する
  • 不足している対策を社内規程や運用ルールに落とし込む
  • 従業員向けハンドブックを配布資料の土台として活用する

立場ごとに役割を分けて対策する

セキュリティ対策は、担当を明確にしないと誰も実行しないまま形だけ残ります。総務省ガイドラインは対策項目を「経営者」「システム・セキュリティ管理者」「テレワーク勤務者」の3つの立場に分け、それぞれが実施すべき内容を整理しています。

立場主な役割
経営者方針の策定と予算確保、組織全体の責任を負う立場
システム・セキュリティ管理者技術的対策の導入と運用、機器や通信の管理
テレワーク勤務者定められたルールの遵守、端末や情報の適切な取り扱い

経営者が方針と資源を示し、管理者が仕組みを整え、勤務者が日々の行動で守るという流れです。どれか一つが欠けても全体の安全は保てず、三者が連携してはじめて現実的なセキュリティ水準を維持できます。

定期的な見直しで対策の形骸化を防ぐ

一度決めたルールも、放置すれば実態に合わなくなり形骸化します。テレワークを狙う攻撃手口は変化し続けるため、対策は作って終わりではなく、回し続ける運用が前提です。

総務省ガイドラインも、情報セキュリティ関連の規程や対策を継続的に見直し、その状況を定期的に確認してPDCAサイクルを回すよう求めています。あわせて勤務者へのセキュリティ研修も実施と受講を徹底し、次のような取り組みを定期的に繰り返します。

  • ルールと運用状況を一定期間ごとに点検する
  • 新たな脅威や働き方の変化に合わせて規程を更新する
  • 全従業員に研修を実施し、理解と意識の向上を図る

点検、更新、教育を繰り返すことで、ルールは生きた仕組みとして機能します。継続的な見直しこそが、形だけの対策を防ぎ、長期的な安全を支える要です。

まとめ:リモートワークのセキュリティはリスク把握と継続運用が鍵

リモートワークのセキュリティは、端末の紛失や不正アクセスなどのリスクを正しく把握し、技術と物理と人の3つの視点から対策を整理することが出発点です。そのうえで通信環境を安全に保ち、総務省ガイドラインを参考にルールと社員教育を整えることで、自社に合った現実的な備えが実現します。

本記事のポイントをおさらいします。

本記事のポイント

  • リモートワーク特有のリスクは端末紛失や不正アクセス、覗き見、シャドーITなど多岐にわたる
  • 対策は技術・物理・人の3視点で整理し、優先順位をつけて進めるのが効果的
  • ルール整備と定期的な見直しで対策の形骸化を防ぎ、継続運用へつなげる

専門知識がなくても、リスクの全体像と対策の進め方をつかめば、コストや手間を抑えながら安全性を高められます。一度きりで終わらせず、定期的に見直して運用を続けることが、安心して働ける環境づくりの近道です。

リモートワーク セキュリティに関するよくある質問

参考文献

  1. 総務省 テレワークにおけるセキュリティ確保
  2. IPA テレワークを行う際のセキュリティ上の注意事項

執筆者

Zisedai Media 編集部
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編集部

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監修者

Zisedai Media リサーチチーム
Zisedai Media リサーチチーム

リサーチチーム

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