リモートワーク廃止はなぜ進む?企業事例と対処法を徹底解説

リモートワーク

この記事のポイント

リモートワーク廃止は、感染症対策の終了や対面重視、生産性や労務管理の課題を背景に進んでいます。海外大手や日本企業で出社回帰が広がる一方、完全廃止ではなくハイブリッドへの移行が中心です。直面時は就業規則の確認や交渉、転職が選択肢となります。

リモートワーク廃止はなぜ進む?企業事例と対処法を徹底解説

「最近リモートワーク廃止のニュースをよく見るけれど、そもそもなぜ今このタイミングで出社回帰が進むのでしょうか。もし自分の会社でも廃止されたら、柔軟な働き方を手放すしかないのか不安です」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

  • リモートワーク廃止が進む理由
  • 出社回帰に動く国内外の企業動向
  • 廃止に直面したときの対処法と代替の働き方

リモートワーク廃止が進む主な理由は、コミュニケーションや生産性を重視する企業が対面勤務へ回帰しているためです。

本記事では廃止の背景だけでなく、就業規則の確認や交渉、ハイブリッドワークなど柔軟な働き方を続けるための具体策まで整理しています。会社側の論理と自分の選択肢の両方を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

リモートワーク廃止が進む理由

リモートワーク廃止が広がる背景には、複数の要因が重なっています。感染症対策として始まったリモートワークという働き方が見直され、出社を前提とした体制へ戻す動きが強まっており、主な理由は次の4つです。

  • 感染症対策としての暫定措置が役目を終えたため
  • 対面でのコミュニケーションを重視するため
  • 生産性やイノベーションの低下を防ぐため
  • 労務管理や情報セキュリティの課題があるため

感染症対策としての暫定措置が終わったため

リモートワーク廃止の出発点は、導入の前提が変わったことにあります。多くの企業にとって在宅勤務は、感染拡大を避けるための緊急かつ暫定的な措置でした。

新型コロナウイルスが2023年5月に感染症法上の5類へ移行し、出社を控える理由が薄れたことで、本来の働き方へ戻す判断が自然になりました。実際にテレワーク実施企業の割合は大きく減っており、日本生産性本部の調査では2023年5月の31.5%から2025年1月には14.6%まで下がっています。

対面によるコミュニケーションを重視するため

リモートワーク廃止のもう一つの理由は、対面ならではのコミュニケーションを取り戻したいという狙いです。オンラインでは業務連絡は取れても、リモートワークでのコミュニケーションでは偶発的なやり取りが生まれにくい傾向があります。

チャットやWeb会議では、何気ない雑談や表情・声色といった非言語の情報が伝わりにくくなります。こうした要素は信頼関係の構築や新人育成、部署をまたいだ連携で重要な役割を果たすもの。

対面の場を確保すれば、迅速な相談や認識のすり合わせがしやすくなると企業は考えています。

生産性やイノベーションの低下を防ぐため

生産性とイノベーションへの懸念も、リモートワーク廃止を後押ししています。在宅勤務では業務の進捗が見えにくく、社員同士の偶発的な対話から生まれる発想が減るという指摘があります。

対面であれば、その場での質問や意思決定がスムーズに進みやすくなります。とくに新しい企画やアイデアは、複数人がすぐに集まって議論できる環境から生まれやすいもの。

出社を前提とすることで、組織全体の創造性や一体感を高めたいという意図が見られます。

労務管理や情報セキュリティの課題があるため

労務管理と情報セキュリティの難しさも、リモートワーク廃止の判断材料になっています。離れた場所で働く社員の状況を正確に把握するには、相応の仕組みが欠かせません。

勤怠管理では、実際の労働時間や成果が見えにくく、過重労働やサボりの懸念が生じます。リモートワークのセキュリティ対策が不十分な場合、自宅の回線や個人端末を経由することで情報漏えいのリスクが高まる点が課題。

これらを管理しきれない場合、出社へ戻すほうが安全だと判断する企業も少なくありません。

リモートワークを廃止した企業の動向

リモートワーク廃止の流れは、海外の巨大IT企業が先導し、日本企業にも広がっています。出社回帰の動きは2025年に加速しており、政府統計でもテレワーク導入率は前年を下回りました。

出社回帰を進める海外大手

海外では、巨大IT企業が相次いで出社回帰へ舵を切っています。なかでもアマゾンは、米国の大手テックで初めて原則週5日出社を打ち出した企業です。

アマゾンは2024年9月に方針を発表し、2025年1月2日から原則として週5日のオフィス勤務を求める体制へ移行しました。それ以前は2023年5月から週3日以上の出社を求めていたため、リモートワークを大きく縮小した形です。

主要各社の動向は次のとおりです。

企業方針開始時期
アマゾン原則週5日出社2025年1月
デルオフィス1時間圏内は週5日出社(ハイブリッド廃止)2025年3月
グーグル原則週3日出社(人事評価にも反映)2023年
メタ原則週3日出社2023年

週3日のハイブリッドから週5日の完全出社へと、段階的に出社日数を増やす企業が目立ちます。デルのようにハイブリッド勤務そのものを廃止する事例も出ています。

出社回帰に動く日本の主な企業

日本でも、原則出社へ方針を切り替える企業が増えています。海外ほど一律ではないものの、コミュニケーションや生産性を理由に出社を求める動きが広がっています。

代表的な事例として、ホンダは2025年のゴールデンウィーク明けから、原則週5日出社へ方針を転換しました。育児や介護などの事情がある場合は在宅勤務を続けられる配慮も残しています。

日本企業の主な動向は以下のとおりです。

  • ホンダ: 2025年5月から原則週5日出社(育児・介護等は在宅継続可)
  • GMOインターネットグループ: 2023年2月から原則出社
  • LINEヤフー: 2025年4月から原則週1回の出社日を設定

完全な出社回帰に踏み切る企業がある一方、出社日数を一部だけ設ける企業もあり、対応には幅があります。

テレワーク導入率の最新の推移

企業全体で見ると、テレワークとリモートワークの違いはあるものの、テレワーク導入率は2021年をピークに緩やかな低下が続いています。総務省の通信利用動向調査によると、新型コロナウイルスの流行前後で導入率は大きく変動しました。

2019年に20.2%だった導入率は、2020年に47.5%へ急増し、2021年には51.9%でピークに達しています。その後は2023年に49.9%、2024年には47.3%と、出社回帰の流れを反映して低下傾向です。

推移は次の表のとおりです。

テレワーク導入率
2019年20.2%
2020年47.5%
2021年51.9%
2023年49.9%
2024年47.3%

数値からは、リモートワーク廃止が一部の大企業だけでなく、全体的な傾向として進んでいることがわかります。ただし半数近い企業は依然としてテレワークを残しており、完全な廃止ではなく縮小や見直しが実態に近いといえます。

リモートワーク廃止に直面したときの対処法

リモートワーク廃止を告げられたら、感情的に反発する前に事実と権利を確認することが先決です。確認すべき順番は、自分の労働条件の根拠を押さえ、会社と交渉し、それでも折り合わなければ転職を検討するという3段階になります。

対処を進めるときの基本的な流れは次のとおりです。

  1. 就業規則や雇用契約で在宅勤務の位置づけを確認する
  2. その内容を根拠に上司や人事と出社条件を交渉する
  3. 条件が合わなければ柔軟な働き方ができる企業へ転職する

就業規則や雇用契約の内容を確認する

最初の一手は、自分の働き方が契約上どう定められているかの確認です。リモートワークが「権利」なのか「例外的な措置」なのかで、会社が一方的に廃止できる範囲が変わるためです。

多くの企業では就業規則に「会社が指定する場所で勤務する」と書かれ、在宅勤務は例外運用にすぎません。この場合、出社に戻す指示は業務命令として原則有効となります。

一方で雇用契約書や求人票に「フルリモートを基本とする」と明記されていたり、入社から長期間リモートが続いていた場合は、労働条件としての黙示的合意が成立しているとみなされる可能性があります。労働契約法は合理性のない不利益変更を原則禁じており、合理的な理由なく一方的に出社を強制すれば違法と判断されることもあります。

確認しておきたい主なポイントは以下のとおりです。

確認項目見るべき内容
就業規則の就業場所在宅勤務が制度として定められているか
雇用契約書勤務地や働き方が個別に約束されているか
求人票や採用条件フルリモートと明記されていたか
運用実績リモートが長期間継続していたか

上司や人事と出社条件を交渉する

契約内容を確認したら、次は感情論ではなく根拠を示して交渉する段階です。会社側の都合だけでなく、自分の事情と法的な後ろ盾を整理して伝えることで、柔軟な対応を引き出しやすくなります。

特に育児や介護を抱える場合は、2025年4月施行の改正育児・介護休業法が交渉材料になります。同法では3歳未満の子を養育する労働者がテレワークを選べるよう措置することが企業の努力義務とされ、同年10月からは3歳以上小学校就学前の子について、テレワークや時差出勤など複数の選択肢から2つ以上を講じる義務が加わりました。

交渉では次のような提案を準備しておくと建設的です。

  • 完全在宅ではなく週数日の出社というハイブリッド案
  • 育児や介護の送迎時間に限った在宅対応
  • 一定期間の試行で生産性を示す段階的な合意

会社が出社を求める背景には、若手育成の停滞やコミュニケーション不足といった理由があります。その懸念を解消する働き方を自分から示すことが、合意への近道です。

柔軟な働き方ができる企業へ転職する

交渉しても条件が折り合わない場合は、柔軟な働き方ができる企業へのリモートワーク転職が現実的な選択肢になります。働き方そのものを軸に職場を選び直すことで、通勤のない暮らしや家庭との両立を守れるためです。

フルリモート求人は、リモートワークに強い転職エージェントや求人プラットフォームを使うと探しやすくなります。リクルートエージェントやワークポートなどのエージェントに加え、企業文化とのマッチングを重視するWantedly、求人数の多いIndeedなどが代表的です。

転職活動を進めるときの着眼点は次のとおりです。

  • 「フルリモート可」が制度として明記されているか
  • 一時的な許可ではなく恒常的な働き方として定着しているか
  • 職種や業界がリモートと相性のよい領域か

求人票の文言だけで判断せず、面接で運用実態を確認することが失敗を防ぐ鍵になります。リモートワーク廃止を転機ととらえ、自分に合う働き方を選び直す姿勢が、納得できるキャリアにつながります。

リモートワーク廃止後に検討したい代替の働き方

かつて進めたリモートワーク導入の形を見直す際、リモートワーク廃止は完全な出社か在宅かという二択ではありません。出社と柔軟性を両立させる働き方を選べば、通勤負担や両立の不安を抑えながら会社の方針にも対応できます。

代表的な代替策を比較すると、それぞれが補う柔軟性の種類が異なります。

制度柔軟になる点出社の有無
ハイブリッドワーク出社する日数一部のみ出社
フレックスタイム制度1日の働く時間帯出社あり
時差出勤制度始業と終業の時刻毎日出社

出社と在宅を組み合わせるハイブリッドワーク

ハイブリッドワークは、出社と在宅勤務を組み合わせる働き方です。リモートワーク廃止の代替として最も現実的な選択肢といえます。

理由は、対面で得られる連携と、在宅で得られる集中や時間の余裕を両立できるためです。週2〜3日の出社と残りを在宅にする形が一般的で、完全出社に戻すよりも従業員の負担を抑えられます。

2026年は、出社日数そのものよりも「出社した日に何をするか」を設計する企業が増えています。対面でしか生まれない雑談や信頼構築、複雑な課題の共同解決を出社日に集める動きです。

AIが会議の自動要約や日程調整を担い、在宅日の業務効率を支える事例も広がっています。

通勤の柔軟性をある程度残したい人に向いた制度です。

始業時間を調整できるフレックスタイム制度

フレックスタイム制度は、出退勤の時刻を従業員自身が決められる制度です。出社は前提としつつ、1日の働く時間帯に自由を持たせます。

仕組みの中心となるのが、清算期間とコアタイムです。清算期間は労働時間を管理する一定の期間で、法律上は最大3カ月まで設定でき、多くの企業が1カ月を採用しています。

働く時間帯は次の2つに分かれます。

  • コアタイム:必ず勤務する時間帯
  • フレキシブルタイム:始業と終業を自由に選べる時間帯

コアタイムを設けないスーパーフレックスタイム制を導入する企業もあります。総労働時間を満たせば、出勤日数まで含めて柔軟に調整できる仕組みです。

育児や介護で日々の時間配分を変えたい人に適した制度といえます。

通勤の負担を減らす時差出勤制度

時差出勤制度は、決められた勤務時間帯を前後にずらして働く制度です。1日の総労働時間は変えずに、始業と終業の時刻だけを移動させます。

最大の目的は、通勤ラッシュの回避です。混雑した電車を避けることで通勤のストレスが大きく減り、職場での集中力や生産性の向上につながります。

フレックスタイム制度との違いは、自由度の幅にあります。時差出勤は会社が用意した数パターンから選ぶ形が多く、フレックスのように毎日自分で時間を決めるわけではありません。

導入のハードルが低く、勤怠管理も比較的シンプルです。

完全出社が避けられない場合でも、通勤の負担だけは軽くしたい人に向いています。

まとめ:リモートワーク廃止はハイブリッドへの移行が現実解

本記事では、リモートワーク廃止が進む理由から、出社回帰に動く国内外の企業の動向までを整理しました。あわせて、廃止に直面したときの対処法や、ハイブリッドワークをはじめとする代替の働き方も解説しています。

本記事のポイントをおさらいします。

本記事のポイント

  • リモートワーク廃止の背景には感染症対策の終了や対面コミュニケーションの重視、生産性や労務管理の課題がある
  • 海外大手や日本の主要企業で出社回帰が進む一方、完全な廃止ではなくハイブリッドへ移行する流れが中心
  • 廃止に直面したら就業規則の確認や出社条件の交渉を行い、難しければ柔軟な働き方ができる企業への転職も選択肢になる

リモートワーク廃止の理由と企業の動きを理解できれば、一方的な決定に見えた変化にも納得しながら向き合えます。就業規則の確認や交渉、転職といった現実的な選択肢を持つことで、柔軟な働き方を守る次の一歩を冷静に判断できるはずです。

リモートワーク廃止に関するよくある質問

参考文献

  1. 総務省 令和6年版 情報通信白書 テレワーク・オンライン会議
  2. 公益財団法人日本生産性本部 第16回 働く人の意識調査

執筆者

Zisedai Media 編集部
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編集部

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監修者

Zisedai Media リサーチチーム
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